「仕方ないですよね、宝井さん忙しいでしょうし……日曜まで仕事なんて、社長は大変だ」
明るい声で言ってくれるものの、その表情はどこか悲しい。
……嫌な気持ちに、させたかな。折角誘ってくれたのに、仕事理由に断ったりして。
『社長は大変だ』
その一言が、チクリと胸を刺す。
「ご、ごめんなさい。また今度、違う日の昼間に出かけません?」
「そうですね。昼間出かけるならどこがいいかな、やっぱり映画?それともドライブとかですかね」
「どっちも素敵ですね。松嶋さんはどんな映画が好きなんですか?」
笑って話をしながら、どこか残る小さなしこり。
一人の女として私を見てくれていると言った彼は、『社長』として生きる私のことも、その目に映してくれるのかな。
秘書に甘えるばかりの私も、なかなか会えないであろう日々も、全て見つめてくれるのかな。
怖くて聞けないことばかりを心のなかに巡らせて笑顔を作ったら、口の端がひきつるのを感じた。



