愛してもいいですか




「日向、お茶入れ直して。熱いのね」

「はい」



くつろぐように応接用ソファに再度座る私に、日向は空になった湯のみを二つ下げると、部屋の外の給湯室へ向かう。

戻ってきたそのトレーには、湯気のたつお茶の入った湯のみ。それと、小さなお皿にのったたい焼きがひとつ。



「これは?」

「午前中外出した時についでに買ってきたんです。使いっ走りさせられる前にしておこうと思って」

「……優秀なパシリね」

「秘書!秘書ですよ!」



事前に買っておく、なんてもし私がいらないと言ったらどうするつもりだったんだろう。

……まぁ、こうして出されたら食べるけどさ。



時刻も丁度午後十五時。おやつの時間だ。目の前のテーブルに置かれたたい焼きは今日も相変わらず美味しそうな色をしている。



「ねぇ、たい焼きもう一個ある?」

「え?あ、はい一応。余ったら秘書室にでも持って行けばいいかなと思って……」

「じゃあもうひとつ持ってきて。ついでにお茶ももうひとつ」

「どなたかと食べるんですか?」



お茶を飲みながら指図する私に、日向は意味がわからなそうに首を傾げた。



「そしたら、そこに座ってあんたもお茶の時間にしなさい」

「え?へ??」

「秘書にだって、小休憩くらい必要でしょう?」

「……あっ!はい!喜んで!!」



つまりは、一緒にお茶にしようということ。その意味にようやく気付き、日向はバタバタと給湯室へと向かった。



だんだんと、消えていく警戒心。むしろ、その存在に落ち着きすら感じている。

少しずつ、少しずつ、自分のなかの何かが変わっていく。自分が触れる世界が、変わっていく。

彼の、言葉に。