それから私と日向は大した会話もないまま、建物を出て会社へと戻ってきた。
社長室で上着を脱ぐ私に、日向は荷物を置く。
「よし、じゃあ残った時間で書類片付けちゃってくださいね」
「えぇ。……あの、日向」
「ん?どうかしました?」
先程の一件からどこか感じているぎこちなさ。思えば、お礼を言えていないことに気付いた私は、部屋に入ってすぐ動こうとする日向のスーツの裾をくいっと引っ張り呼び止める。
「……あの、さ。さっきのことなんだけど、」
少し高い位置にあるその顔を見上げながら、言葉をしぼりだそうとする。日向はそんな私の顔をじっと眺めた。
「あの……その、ありが、」
「架代さん!!」
かと思えば突然、私の顔を両手でガシッ!と掴んだ。
「えっ!?えっ……なに!?」
いっいきなり顔掴んだりしてっ……なにする気!?
予想外の動きにドキッと心臓は跳ねる。けれど目の前のその顔は真剣な顔つきで。



