愛してもいいですか




「はーっ、楽しかった!」



それから一時間ほど、じっくりと現場を見たり社員から話を聞いたりとした私は、満足感でいっぱいでヘルメットを外した。



「一通り見終わりましたし、そろそろおいとましましょうか」

「そうね」



隣について歩いていた日向も同じようにヘルメットを外すと、潰れた髪をくしゃくしゃっと手ぐしで直す。



「それにしても、架代さんは本当楽しそうに見ますねぇ」

「えぇ、楽しいもの。自社の社員のデザインの上手さはいつ見てもびっくりするわ」

「俺は架代さんのはしゃぎっぷりにびっくりですけど」



私の頭も同じようにくしゃくしゃと直す日向はやはり微笑ましい瞳で、私に言い返せなくする。



「じゃあ俺、向こうに挨拶してから車とってきますんで……」

「あー、疲れたー」



話しながら建物から出ようとした、その時。不意に聞こえてきたのは、出入り口から伸びた上の階に続く階段から響く男性の声。

誰かいるのだろうかと何気なしに見上げると、そこではスーツを着た三十代くらいの男性社員が二名ほど、缶コーヒーを手に休憩をしているのが見えた。



「あれって……?」

「デザイン部の木村さんと多田さんですね。ここの現場担当だったはずです」



そういえば日向、記憶力良いんだっけ。すぐさま部署と名前をあげる日向に、少し驚きながらそう思い出す。