「架代さんも今日もガードがお固いようで」
「当然でしょ。それと、『昨夜はお楽しみ』ってどういうことよ」
「昨夜も遅くまで、あの彼と会ってたんじゃないんですか?」
「なっ、なんでそれを!?」
「そんな大きなあくびしてたらわかりますよー」
ポン、とやってきたエレベーターに、あははと笑いながら開くのボタンを押す日向に、私はエレベーターへ乗る。
続いて乗り込んだ日向は6のボタンをカチ、と押した。
「ちょっと、勘違いしないでよね。会いはしたけどただ食事しただけ」
「あれ、そうなんですか?てっきりもうとっくにかと」
「私は付き合ってもいない相手と寝るほどだらしなくないの。あんたと違ってね」
上って行くエレベーターの中で、ツンと言った私に否定も肯定もせずにその笑顔は浮かべられたまま。



