愛してもいいですか




「英三社長からの用事で、こちらの書類を渡すようにと」

「もう、書類くらい郵送でいいのに……お父さんってば秘書を使いっ走りにして」

「それをあなたが言っちゃいますか」



後ろからボソ、と言う日向に、「うるさいわね」と睨む。そんな私達に、神永はクスと笑うと書類の入った封筒とともに小さな紙袋を手渡した。



「これは?」

「こちらは私からの差し入れです。日本橋にある和菓子屋の大福です」

「わざわざありがとう、嬉しい」



和菓子が好きな私のために、わざわざ差し入れにこれを選んでくれたのだろう。そんな気遣いも神永のいいところのひとつだ。



「本当はゆっくりお話でもしたいところですが、つい先程英三社長のほうから至急戻るよう電話がありまして。すみませんが、今日はこれで」

「そうなの?じゃあまた今度ね。本当にわざわざありがとう」

「失礼します」



その用事だけを済ませると神永は頭を下げ部屋を後にした。バタン、と閉じられたドアに、私は淡い紫色の紙袋を見つめた。



「……本当、神永さんには甘々なんですねー」

「え?そうだった?」

「そりゃあすごく。嬉しそうにはしゃいじゃったりして」



そんな私の手から書類を受け取る日向は、ぶすっと不貞腐れたように唇を尖らせる。