「日向がミスするなんて、珍しい」
「……へへ、架代さんがお見合いするって神永さんから聞いて、動揺しちゃいました」
「なによ、それ」
「なにって……そのままですけど。さっきの言葉も、最初から最後まで俺の正直な気持ちです」
じっとこちらを向く丸い瞳に、心臓がドッ、と音をたてる。思えば日向と目と目を合わせて話すのなんて久しぶりで、空いた時間が余計に彼を意識させた。
『俺は、どんなあなたでも愛します』
あれが日向の、正直な気持ち?
「なにを勘違いしてるんだか知りませんけど……俺がずっと憧れてたのは架代さんで、好きなのも、傍にいたいのも架代さんなんですよ!」
「へ?え?へ??」
わ、私……?
じゃああの日、日向がキラキラとした目で話していたのは西さんのことじゃなくて……私のこと?
「う、そ……だって、なんで……」
「営業部にいた頃から知ってた、って言ったでしょう?その頃から俺は、あなたを見ていたんですよ」
ひゅう、と吹く冬を告げる冷たい風が、ほてった体に心地良い。青い空の下、それまで真顔だった日向はようやくふっといつものような笑顔を浮かべる。



