愛してもいいですか




「いやぁ、マジで美人ですね。この前の不動産会社のパーティ……あ、俺パーティとか好きでよく親父に連れて行ってもらうんですけど。その時に見かけた時も超美人だと思って」

「ありがとうございます。ふふ、お恥ずかしいです」

「その時に『宝井建設の一人娘』って聞いて、親父に話したらまさかの知り合いだったらしいじゃないですか!マジ運命だと思っちゃいました」



ペラペラとよく話してくれるものの、その話し方から察するに中身は相当若いらしい。親父に、親父が、と親の名前ばかり出てくる。



「あ……えと、職業はフリーライター、でしたっけ?どんなお仕事をされてるんですか?」

「え?あー、たまに映画とかドラマに関しての感想書いたりしてるんですよ。ラクに小遣い稼げていいですよ」

「お小遣い……あれ、じゃあ普段生活はどうされてるんですか」

「基本親父から貰ったカード使って暮らしてるんで金には困らないんですよー。あ、でも今バンドもやってて、そのうちそっちも売れるんじゃないかなって感じで」

「あー……はは、は……」



おまけに『在宅勤務のフリーライター』というより、『親の金で暮らしている趣味に生きる男』だ。

そりゃあ自由で楽しそうだけど……この人が私と結婚したいのって、どう見ても金目的じゃない……!

そういえば家のことはやるから仕事してていいとか言っていたっけ。まぁ、これはこれでお互いの利害は一致しているかもしれないけど……。



「それで、そのバンドっていうのが……」と聞いてもいないようなことをペラペラと話す彼に、私は愛想笑いを浮かべ流すように話を聞く。