愛してもいいですか




呆れたように溜息をついたその時、前から来た人とドンッと肩がぶつかってしまう。



「わっ」

「あっ、すみません」



その衝撃に見れば、相手はスーツを着た男性。

同じ歳くらいだろうか、細い体に私より十センチほど高い背、少しくせのついた黒い髪をしたその人は慌てて足を止めた。



「すみません、飲み物こぼれたりしませんでした?」

「え……えぇ、こちらこそごめんなさい。ぼんやりしていて」

「いいえ。大丈夫ならよかった」



このパーティの参加者なのであろう彼は、少し垂れた目を細め、にこっと可愛らしく笑う。



「折角ですし、よかったら少しお話しません?」

「は、はい」



思わぬお誘いに、カールさせた髪を右耳にかけ頷いた。



「初めまして、松嶋直樹っていいます」

「宝井架代です」

「宝井さん、ですね。歳聞いても?」

「二十七です」

「あっ、同じ歳」



へへっと笑う柔らかな雰囲気の彼……松嶋さんは、日向とはまた違う人懐こさ。同じ歳ということもあってか一気に距離は縮まる。