愛してもいいですか




「もー、歩けなぁい〜」



それから三時間後の、二十三時近くを回った頃。居酒屋の前ではしゃがみ込む女性社員と、どうしたらいいのか悩む俺の姿があった。

あれから全員はしゃぎにはしゃぎ、特にこの彼女は女性たちの中でも一番勢いよく飲んでいた。

明日も仕事だからと先輩たちは早々に帰って行ったけれど……一番酔っ払っていない俺に任せられたのは、一番泥酔した彼女の世話だった。



歩くこともおぼつかず、道の端にしゃがみ込んでいる。正直置いて帰りたいけど、そんなこと出来るわけもなく、仕方なく同じようにしゃがみ込み視線を合わせる。



「おーい、大丈夫?送るよ、家どこ?」

「すみだ……」

「墨田区?じゃあタクシー拾うから、住所分かるものある?」



すると彼女は自分のバッグをガサガサとあさり、免許証を取り出すと俺に手渡した。それを受け取り、タクシーを拾おうと立ち上がる。



「よし、じゃあ君も立って……わっ、」



すると、女性も同じように立ち上がったものの足元はよろけ、こちらへぐらりと転びかける。