「……私は、本当バカね」 「えぇ。……でも、そんなところも可愛いですよ」 囁いて、こちらへと近付く顔。その唇はそっと、私の目元の涙に触れるようにキスをする。 日向の髪の香り。唇の柔らかさと、体温。それらが心の奥に溶けるように染み込んでいく。 ドキ、ドキと鳴る鼓動に感じるのは、松嶋さんに感じた安心感とはまた違うもの。あたたかくて、愛おしい。 暗くなり出す窓の外では、すっかり冷えた洗濯物が風に揺れていた。