「……伊東常務、この度は大変申し訳ございませんでした」
「何度謝られようと、社長に頭を下げられようと無駄だ!帰ってくれ!」
顔を背ける伊東常務に、私は近付くとその場にそっと膝をつく。そして、そのままゆっくり床に額をつけ土下座をした。
「大変、申し訳ございませんでした」
格好悪い、情けない。だけど、今の私にはこうしてでしか誠意を示すことが出来ないから。
「原因は全て、私の監督不行届きにあります。もう二度とこのようなことが起こらないよう、社員教育を徹底致します。ですから、どうかこれからもお取引を継続していただけませんでしょうか」
「か、架代社長……」
「なっ……何をしているんだ!そこまでしなくていい、頭を上げろ!」
突然のことに周りが動揺しているであろうことを、周囲からの声で感じ取る。それでも尚、私は頭を地面につけたまま。
「あっはっはっは!さすが宝井のところの娘さんだ、勢いがいい!」
「え……?」
するとその時、背後の先程私が入ってきたドアから響いた豪快な笑い声。何事かと顔を向けると、そこにいたのは茶色いスーツをきつそうに着た、ふくよかな男性。
真っ白な白髪頭にメガネをかけたどこか見覚えのあるその人は、お父さんと同年代のこの会社の社長・前田社長だということを思い出す。



