「もういい。どうせ今からやり直そうと一日二日でデザインが完成するわけもないだろうし、そもそもそんな無責任な会社とこれ以上仕事をするつもりもない」
「それは……」
「デザイン会社なんていくらでもある。宝井建設の子会社だからとこれまで任せてきたが……やはり所詮、親の七光りの小娘社長レベルだな。社員教育が甘いんじゃないのか?」
強気でこちらを責め立てる伊東常務の言葉に、反論出来ずぐっと言葉を堪える。
「帰りたまえ。今後の取引についてはまたこちら側でよく話し合いをさせてもらう。まぁ、結果は期待しないほうがいいと思うがな」
「っ……本当にすみませんでした!今後は社員に厳しく言い聞かせますので、どうかっ……」
そんな私の隣で日向はまた深く頭を下げる。日向の言っていた『自分でどうにかする』、それはきっとこの謝罪に込められているのだろう。
私に迷惑がかからないようにと、ずっとこうして頭を下げていてくれたんだ。社員の皆も、怒られて、なにを言われても耐えて。
きっとこのまま取引がなくなってしまえば、同業者の間で話も広まる。結果として、会社の経営に関わることになるだろう。
それだけは、どうにかして免れなければならない。
沢山の社員がいる。その社員の数だけ、恋人や家族、支えたい人がいる。その人たちのために、私は少しでも会社を良くし、立派にする。
そのために、私ができること。



