「……ふぅ、」
そしてそれからしばらく経った頃、トイレに立った私はザー、と水で手を洗うとトイレを後にした。
ったく、日向はお父さんの前でも相変わらずなんだから……。お父さんも結婚結婚うるさいし。神永は気まずそうに苦笑いながらばかりしているし。
けど親子なのに不思議だけど、こうして話すの久しぶりかも。
……楽しい、な。わいわいとにぎわう空気にそう感じられる自分もいる。
戻ろうと廊下を歩き、部屋の目の前までやってきた。部屋の中からは当然、男三人の声が聞こえてくる。
「それにしても、日向くんと架代は本当に仲が良いな」
「そうですか?叱られてばかりですが」
「架代が遠慮なしに接するのも、信頼の証だろう。まだ完全にとまではいかなくても、心を許しているのはわかる」
その話に、戸を開けようとする手なつい止まる。
私が、日向に心を許している。……なんて、お父さんにはそう見えるんだろうか。



