愛してもいいですか




「え?はい、そうですけど」

「自分、東和インテリアの佐藤っていいます。いつも父がお世話になってます」

「東和インテリアの……ということは、佐藤社長の息子さん?」

「はい」



どうやら彼は社長息子だったらしく、にこりと笑ってパーマがかけられた茶色い髪を揺らす。



「いやぁ、噂通りの美人ですね。よかったら向こうで一緒に飲みませんか?」

「え……」

「申し訳ありませんが、まだ他の方々にご挨拶が済んでおりませんので」



そんな彼からの誘いに私が答えるより早く、日向は答えてしまう。おまけに彼と私の間に入り込むようにしながら。



「え、でも……」

「なにか?」

「い、いえ……なんでもないです。じゃあ、また」



そんな日向の威圧感に押し負けるように、彼はすごすごと去って行ってしまう。そんな一部始終を見ていた周囲の男性たちも、こちらを避けるように背中を向けた。



「……ちょっと、日向。人の出会いのきっかけを勝手に遮らないでくれる?」

「本日のパーティはお仕事ですから。社長を悪い虫からお守りしているだけです」

「仕事の話に繋がるかもしれないじゃない」

「あんな頭の軽そうな若者がうちの会社に有益となる仕事の話なんて持ってくるわけがないだしょう?俺だって、声をかける人全てを追い返したりはしませんから」



ようするに、先程の彼は日向から見てアウトだった、と。



「……まるで番犬ね」

「お褒めいただき光栄です」



嫌味もにこりと受け取る、相変わらずの前向きさに溜息をつく。