「昨日も言ったけどよ、最近のお前は思い悩んでる顔してる。でもよ……、」
今井はそこで言葉を区切ると、小さく息を吐いた。
「表情変えない以前のお前に比べたら断然そっちのがいいって」
その言葉にピクリと反応する自分が居る。
「俺にはわかんねーよ……」
「……?」
「どうして好きだって認めねーんだよ。認めちゃいけないような女を好きになったのか? 違うだろ? どう見てもいい人じゃねーか」
一度会いに行った程度で、おねーさんの何を知ってるんだこいつ。いや、言い換えれば、一度話せば魅力が伝わるのがおねーさん、という事か。
「……“好き”って何なのさ……」
薄く開いた口唇から紡がれた言葉は、とても小さくて。呟いてから、何でこんな事を言ってしまったんだろうと悔いた。
「……え?」
ボクの言葉は、今井の耳には届かなかったらしい。だけど何かを言った事は解ったらしく、消え入りそうな声で聞き返してきた。
もう一度問うべきか悩んだ。何でもないと一言放ち帰ってしまえばいい。もう靴は履いたんだから。
だけど今ボクが何をすべきか解らず、結局此処に留まる選択しか出来なかった。
本当は、『答え』を知りたいと思ったのかも知れない。
認めてしまえば楽だという事を、知っていたのかも知れない。
地面を睨み付ける様に眺めていたが、つと顔を上げ、遠くを見つめた。
「……どんな感情を、“好き”って言うのさ……」
そう言って今井を見た。
――認める事の出来ないこの感情を、誰かに認めて欲しかったのかも知れない。
躊躇ったくせに、予想外にハッキリと口にした問い。自分でも驚いた。
ボクの言葉に今井は驚いていて、ただ立ち尽くしていた。
終礼の始まりを告げるチャイムが響き渡り、それは静寂の中、やけに大きく聞こえた。
今井はそこで言葉を区切ると、小さく息を吐いた。
「表情変えない以前のお前に比べたら断然そっちのがいいって」
その言葉にピクリと反応する自分が居る。
「俺にはわかんねーよ……」
「……?」
「どうして好きだって認めねーんだよ。認めちゃいけないような女を好きになったのか? 違うだろ? どう見てもいい人じゃねーか」
一度会いに行った程度で、おねーさんの何を知ってるんだこいつ。いや、言い換えれば、一度話せば魅力が伝わるのがおねーさん、という事か。
「……“好き”って何なのさ……」
薄く開いた口唇から紡がれた言葉は、とても小さくて。呟いてから、何でこんな事を言ってしまったんだろうと悔いた。
「……え?」
ボクの言葉は、今井の耳には届かなかったらしい。だけど何かを言った事は解ったらしく、消え入りそうな声で聞き返してきた。
もう一度問うべきか悩んだ。何でもないと一言放ち帰ってしまえばいい。もう靴は履いたんだから。
だけど今ボクが何をすべきか解らず、結局此処に留まる選択しか出来なかった。
本当は、『答え』を知りたいと思ったのかも知れない。
認めてしまえば楽だという事を、知っていたのかも知れない。
地面を睨み付ける様に眺めていたが、つと顔を上げ、遠くを見つめた。
「……どんな感情を、“好き”って言うのさ……」
そう言って今井を見た。
――認める事の出来ないこの感情を、誰かに認めて欲しかったのかも知れない。
躊躇ったくせに、予想外にハッキリと口にした問い。自分でも驚いた。
ボクの言葉に今井は驚いていて、ただ立ち尽くしていた。
終礼の始まりを告げるチャイムが響き渡り、それは静寂の中、やけに大きく聞こえた。

