I love you に代わる言葉



 静かだ。
 一限目が始まってそう思った。
 センセーが授業を教える声や生徒がノートを取る為に鳴らすカリカリというペンの音や誰かの話し声は当然聞こえてくるものの、静かだ、やっぱりボクはそう思った。
 何故なら今、煩いのが傍に居ないからだ。
 授業が始まる直前まで、今井はボクの傍から離れなかった。
 取り敢えず話を聞けだの素直になれだのピアス付けた男がどうしただの煌宝へ行こうだの煌宝へ行こうだの煌宝へ行こうだの……。
 あんまり執拗に付き纏うから始末してしまおうかと半ば本気で考えた。
 まさか授業が終わる度にボクの元へ来る気じゃないだろうな……。
 考えて盛大に溜息をつきたくなった。だけどあいつがボクに突っ掛かる理由が気にならないでもない。
 気になると言えば、シンという男もだ。
 あいつは一体何だったんだ。何故ボクの名を確認した? あの時保健室から出る前に呼び止めれば良かった。確認したい事が幾つかあったのに。くそっ。
 まぁ、昨日の出来事や会話をペラペラと誰かに話す様な奴には見えなかったが……。
 そこまで考えてふと気付く。視界の端で何かチカチカしている事に。そちらに目をやると、机の横に引っ掛けた鞄のポケットから覗くケータイが、チカチカと光っているのが見えた。
 何だ? 電話か、それともメールか?
 どちらにせよ、ボクのケータイが何か反応を示す事は珍しかった。