I love you に代わる言葉

「なななっ……何言ってんだよお前っ……! まだ付き合ってねーよ!」
 ……まだって何だ、まだって。ボクは冷ややかな視線を今井に送った。ボク等のやり取りを見て、シンはぷっと笑い出す。
「うまくいきそうなら、今井も告っちまえばいいじゃねぇか」
 そんなシンの言葉に、今井は狼狽していた。
「なっ、何言ってんだよお前まで!……」
「向こうも待ってるかも知れないぜ?」
 シンはそう言ってにやりと口の端をつり上げた。ボクはそれを傍で見ていて、シンは本当に煽るのうまいな、などと考えていた。
「――ま、アンタも精々頑張りなよ。祝福はしてやらないけど、うまくいくように願うくらいはしてやるよ」
 ふふんと得意気にボクは今井に向かって言う。すると今井はカチンときたのか、
「んだとてめー! 上から目線かよっ……! ふざけんじゃねー!!」
 と怒号を飛ばしてきた。が、すぐにシンが苦笑混じりに今井を宥める。後はシンに任せる事にし、ボクは顔を洗い髪を少し整える為、洗面所に向かった。
 洗面所にいても未だ今井がぶつくさ何かを言っている声が聞こえてくるけど、ボクは特に気に留める事もなく、洗面台に立ててある自分の歯ブラシに手を伸ばした。そして、ああそういえば昨夜は歯磨きし忘れていたな、なんて何とも平和な事を考えていた。