I love you に代わる言葉

 夕食後、ボクは紙袋を持っておねーさんの部屋に向かう。
 おねーさん、これについて特に何も言わなかったな。もしかしたら気付かなかったのかも知れないし、気付いていても今井が購入したものだと思ったんだろう。
 それにしても……オルゴールの侘びのつもりで購入したが、普通に考えればこんな事で、許される筈がないんだ。おねーさんが許しても、ボクが許さないだろう。解放を許さないのは、いつだって己の心だ。だけどボクは、それでも己の罪から逃れたかったのかも知れない。だから罪滅ぼしでこんな事をしたんだ。オルゴールの代わりになろう筈がないのに。
 そんな風に考えて、数分、躊躇いに揺れる。が、絶対に喜ぶ、というシンの言葉が、ボクの背中を押した。意を決して、ボクは扉をノックする。
「はい。…………どうぞ」
 いつものように返事がない事で、訪問者がボクだと気付いたんだろう。おねーさんは数秒の間の後に、部屋に入るよう促した。
 ボクは部屋へと続く扉を、躊躇いと緊張の気持ちを抱きながら開けた。
 おねーさんはベッドに腰掛けて本を読んでいたようだ。手に持っていた本にしおりを挟むと、それをそっと傍に置いた。そしてゆっくりと立ち上がる。