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夕刻の空は、少し、切なさを感じさせた。今にも雨が降り出しそうな薄暗い空は昼間に比べて少し和らいだように見えるが、時刻が時刻だからやっぱり薄暗い。
「少し冷えますね。この時期は何だか少し、物悲しい。九月は……きらい」
外に出て少し歩いた所で、不意におねーさんが、天を仰ぎながら寂しそうに呟いた。おねーさんの感覚は当然だと思った。だって、命日が近い。恋人を失った月だ。物悲しいというレベルじゃなく、実際は胸が張り裂けそうな想いだろう。
冷たい風が吹く。風はいつだって、ボク等を古へと連れてゆく。
ボクは少し声を落として、そうだね、とだけ返した。
おねーさんが待っていて欲しそうにしていたのは、ひとりが、寂しかったからかも知れない。
それから暫く会話はなく、無言で歩いていた。共に過ごす時間が増え、こうしておねーさんと一緒に歩く事も自然と増えて。会話も、以前より自然だ。今のように無言でいたって、そんなに気まずさはない。それくらい、自然な関係になったのに、相変わらずおねーさんはおねーさんで、それ以上でも以下でもない。それでも、今はもどかしくは感じないし、寧ろ心地良さすら感じられる。
だけどやっぱり、今以上の変化が欲しいという願いは生まれる。
墓参りの日、全ての結果が出るんだろう。
……フラれた場合どうするか。この家に居続ける事は難しい。そうなったら、また今井の家に逆戻りか。そう考えて、心内で軽く笑う。それでもまだ行く所がある今の現状が、とても幸福であると知ったから。
夕刻の空は、少し、切なさを感じさせた。今にも雨が降り出しそうな薄暗い空は昼間に比べて少し和らいだように見えるが、時刻が時刻だからやっぱり薄暗い。
「少し冷えますね。この時期は何だか少し、物悲しい。九月は……きらい」
外に出て少し歩いた所で、不意におねーさんが、天を仰ぎながら寂しそうに呟いた。おねーさんの感覚は当然だと思った。だって、命日が近い。恋人を失った月だ。物悲しいというレベルじゃなく、実際は胸が張り裂けそうな想いだろう。
冷たい風が吹く。風はいつだって、ボク等を古へと連れてゆく。
ボクは少し声を落として、そうだね、とだけ返した。
おねーさんが待っていて欲しそうにしていたのは、ひとりが、寂しかったからかも知れない。
それから暫く会話はなく、無言で歩いていた。共に過ごす時間が増え、こうしておねーさんと一緒に歩く事も自然と増えて。会話も、以前より自然だ。今のように無言でいたって、そんなに気まずさはない。それくらい、自然な関係になったのに、相変わらずおねーさんはおねーさんで、それ以上でも以下でもない。それでも、今はもどかしくは感じないし、寧ろ心地良さすら感じられる。
だけどやっぱり、今以上の変化が欲しいという願いは生まれる。
墓参りの日、全ての結果が出るんだろう。
……フラれた場合どうするか。この家に居続ける事は難しい。そうなったら、また今井の家に逆戻りか。そう考えて、心内で軽く笑う。それでもまだ行く所がある今の現状が、とても幸福であると知ったから。

