「ねぇ、あの女――」
顎をしゃくって女を指せば、女? と言って今井は再び背後を向く。が、化粧室からもう一人同年代の女(そちらは至って普通の女だった)が出てきて、こちらをじっと見ていた女に声を掛けた為に、女が後ろを向いてしまった。面白いくらいにバッドなタイミングだ。いや、面白いからここはグッドと言うべきか。今井はまだキョロキョロしていたが、二人はすぐにそこから移動してしまった。そして更に面白い事に、今井が此方を向き直った直後に、女はもう一度だけこちらを名残惜しそうに見た。
「何だったんだ? 何言おうとしたんだよ?」
「こっちをじっと見てた女が居たから、アンタの知り合いかって聞こうとしたんだ。もう行っちゃったけどね」
「こっちを見てたぁ? 何だよお前! 俺の知り合いかって聞いてるけど、どうせ自分の事見てたって言いたいんだろ」
ムスッと口を尖らせながら不貞腐れたように言う今井。ボクは心底呆れた。何でそういう思考になる。ボクは溜息をついた後、
「多分アンタを見てた」
そう言った。すると今井は、ポテトを口に運ぼうと動かした手を止めた。
「……俺を?」
「だからそう言ってるだろ」
「どんな女だった?」
何処かわくわくとした、期待に満ち溢れた表情で尋ねてくる今井。パッと明るくなったそれに無性にムカついて、ボクは意地悪してみた。
「不細工な女」
地味で根暗そうだった、と嘘を付け加えれば、今井はがっくりと肩を落とした。それを見て、ボクは内心ほくそ笑む。言った事は嘘だが、ボクの好みでない為、褒めるべき点が見付からないのは本当だったけど。
顎をしゃくって女を指せば、女? と言って今井は再び背後を向く。が、化粧室からもう一人同年代の女(そちらは至って普通の女だった)が出てきて、こちらをじっと見ていた女に声を掛けた為に、女が後ろを向いてしまった。面白いくらいにバッドなタイミングだ。いや、面白いからここはグッドと言うべきか。今井はまだキョロキョロしていたが、二人はすぐにそこから移動してしまった。そして更に面白い事に、今井が此方を向き直った直後に、女はもう一度だけこちらを名残惜しそうに見た。
「何だったんだ? 何言おうとしたんだよ?」
「こっちをじっと見てた女が居たから、アンタの知り合いかって聞こうとしたんだ。もう行っちゃったけどね」
「こっちを見てたぁ? 何だよお前! 俺の知り合いかって聞いてるけど、どうせ自分の事見てたって言いたいんだろ」
ムスッと口を尖らせながら不貞腐れたように言う今井。ボクは心底呆れた。何でそういう思考になる。ボクは溜息をついた後、
「多分アンタを見てた」
そう言った。すると今井は、ポテトを口に運ぼうと動かした手を止めた。
「……俺を?」
「だからそう言ってるだろ」
「どんな女だった?」
何処かわくわくとした、期待に満ち溢れた表情で尋ねてくる今井。パッと明るくなったそれに無性にムカついて、ボクは意地悪してみた。
「不細工な女」
地味で根暗そうだった、と嘘を付け加えれば、今井はがっくりと肩を落とした。それを見て、ボクは内心ほくそ笑む。言った事は嘘だが、ボクの好みでない為、褒めるべき点が見付からないのは本当だったけど。

