……――こうしてボクが再びこの雑貨屋に足を運べた理由は言うまでもなく、金が出来たからだ。勿論、自分で稼いだ金だ。
 八月の末、ボクはバイトを始めた。シンの働いている職場で、だ。何としても自分で稼いだ金で、例の置物を贈りたかった。勿論、奴等の金に頼らず生活を送りたいという願望もあったが。その為にボクはバイトを探していたが、シンは自分が働く職場を紹介してくれたんだ。
 仕事内容は、割と気に入った。工場勤務と聞いていたから、仕事内容はちまちまと細かい作業を延々とこなす、というものかと思っていたが、実際は違った。男は重労働に回される。重い荷物の整理や、仕分け担当へ荷物を運んだり、積み立て等の作業が主だった。まぁたまに仕分け作業に回される事もあるが。苦痛と言える程ちまちましたものではない。
 従業員数も辟易する程多いんだろうなと思っていたが(実際、作業員は何百といる)、人と積極的に関わり合う仕事内容じゃないから、ボクにとってはありがたかった。過度に馴れ合うのは面倒だからな。
 バイトを始めて半月程経つが、ボクは数日で慣れた。仕事内容も楽だったし。
 ……――こういった訳で、こうして此処に来られている。