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ボクはもう一度おねーさんの部屋に向かい、扉の前で立ち止まる。聞きたい事(願い出たい事)はあったけど、掛けるべき言葉は見付からなかった。シンから聞いた事を話すべきか、黙すべきか。でも、いじめの事など触れられなくはないだろう。
『それでも生きていて欲しかった』
おねーさんの言った言葉が、ボクの心に重く圧し掛かる。ファンが悲しみに沈んだくらいだから、交通事故といじめに繋がりは無いんだろうが、ケンヤという男が、結果的におねーさんをいじめから守った事には違いない。本当に自分を犠牲にして、おねーさんを守ったんだ。それが救う術となるなんて、運命とはあまりにも……他にも、守る術はあったかも知れないのに。……いや、今更何を言っても無意味だ。もう、居ないんだから。
運命がそれをいじめを終わらせる為の死だと言うなら、男を殺したのはいじめをした連中という理屈になる。それもまた、残酷だ。やっぱりボクは、あの言葉で余計におねーさんを傷付けた。だってその理屈からすると、おねーさんはその連中を、生涯憎み続けなければならないから……許したいと思っても、許せないだろう。
『誰が好き好んで人を憎みたいと思いますか』
『憎み続けるより、許したい。許したいと願う時間は、憎み続ける時間と表裏一体で、同等の苦しみを味わうけれど、それが叶ったら……幸せです』
昨夜のおねーさんの言葉を反芻した。あの言葉は、自分自身にも向けたものだったのか……ボクと同様、憎み続けて、許せなくて、けど……許したいと思える程に相手が更生してくれたらいいと、願っているんだろう。すると、ボクが言った言葉は、既に他の誰かから言われていて、改めて聞かされたものかも知れないな。
ボクはもう一度おねーさんの部屋に向かい、扉の前で立ち止まる。聞きたい事(願い出たい事)はあったけど、掛けるべき言葉は見付からなかった。シンから聞いた事を話すべきか、黙すべきか。でも、いじめの事など触れられなくはないだろう。
『それでも生きていて欲しかった』
おねーさんの言った言葉が、ボクの心に重く圧し掛かる。ファンが悲しみに沈んだくらいだから、交通事故といじめに繋がりは無いんだろうが、ケンヤという男が、結果的におねーさんをいじめから守った事には違いない。本当に自分を犠牲にして、おねーさんを守ったんだ。それが救う術となるなんて、運命とはあまりにも……他にも、守る術はあったかも知れないのに。……いや、今更何を言っても無意味だ。もう、居ないんだから。
運命がそれをいじめを終わらせる為の死だと言うなら、男を殺したのはいじめをした連中という理屈になる。それもまた、残酷だ。やっぱりボクは、あの言葉で余計におねーさんを傷付けた。だってその理屈からすると、おねーさんはその連中を、生涯憎み続けなければならないから……許したいと思っても、許せないだろう。
『誰が好き好んで人を憎みたいと思いますか』
『憎み続けるより、許したい。許したいと願う時間は、憎み続ける時間と表裏一体で、同等の苦しみを味わうけれど、それが叶ったら……幸せです』
昨夜のおねーさんの言葉を反芻した。あの言葉は、自分自身にも向けたものだったのか……ボクと同様、憎み続けて、許せなくて、けど……許したいと思える程に相手が更生してくれたらいいと、願っているんだろう。すると、ボクが言った言葉は、既に他の誰かから言われていて、改めて聞かされたものかも知れないな。

