I love you に代わる言葉

「――そういや、俺と日生が初めてまともに話した日、俺があんたに協力してやるって言った事覚えてるか?」
「ああ、そんな事もあったね」
 ボクは、あの時のシンの言葉と、シンの目を思い出していた。ボクの猜疑心を一瞬で砕いた程の、悲哀に満ちたシンの双眸。悲しみを知っている目だと思った。知っている筈だ、と、今漸く理解し、納得した。
「あの時、『俺の目的』は教えたが、『本当の目的』は教えなかったな」
「ああ、そういえばそうだね。で? 本当の目的って何だったのさ」
 問うと、シンは穏やかに笑んだ。そして言う。
「ねーちゃんを救う、だ」
 ボクは意味が解らなかった。あんたなら姉を救えるって言ってなかった?
「それが『本当の目的』で、日生に協力してやる事が『俺の目的』だ」
「――意味が解らないんだけど? アンタが協力したって、うまくいくかどうかも解らないのにさ」
「そう、だけどな。けど俺は確信してる――日生ならねーちゃんを救えるってな」
「は? それじゃあ言ってる事おかしいんじゃない? おねーさんを救う為に動くのがアンタだろ。矛盾しまくりだ」
 ボクがつっけんどんに指摘すると、シンは意外そうに目を丸くした。そしてまた、いつもの調子でくくっと笑う。
「日生って聡いのか鈍いのか解らねぇな」
「は?」
「矛盾が答えで、真実だ」
 シンは得意気に笑って言う。ボクはやっぱり解せなくて眉を顰めたが、口を噤むシンはそれ以上何も答える気が無いように見えて、ボクもシンと同様、それ以上何も言わなかった。