I love you に代わる言葉

「けどな、ねーちゃんを救う為に立ち上がる者も多かったんだ。友達も、謙也さんの家族も、学校の先生も、何度も何度も家へ訪問してきて、ずっとねーちゃんを支えていた。三年もした頃には、普通に笑えるようにもなったんだ。新たな好きな人も彼氏も、“この五年”ずっと作れなかったがな」
 シンはそこで言葉を止め、一息ついた。そしてまたすぐに話し出した。
「日生に彼氏の有無を教えられなかったのは、ねーちゃんの中で謙也さんの存在がどうなっているのか、俺にも解らなかったからだ。傍から見りゃ明らかに死別だが、心の決着は本人しかつけられねぇ。ねーちゃんの中で未だ彼氏として生き続けている可能性もあるからな、俺が勝手に居ないものとして扱っていい事じゃなかったんだ。ねーちゃんが日生にハッキリ『居ない』と言ったと聞いた時は、思い出に出来たんだなって少しホッとした」
 それからシンは、暫し黙った。窓外へと視線を向けて、ボクは哀愁漂う背中をぼんやりと見つめていた。記憶に、静かに涙する背中。シンが大人よりずっと大人なのは、そういう過去を見てきたからだったのか。シンにとっても、辛かったに違いない。ボクだって、辛いんだから。