I love you に代わる言葉

「ねーちゃんが十七歳の……丁度今頃、か……命日は来月だったな。謙也さんが死んだ事によって、いじめが止まったらしい」
「――!?」
 ボクはギリッと口唇を噛んだ。
 なんて……皮肉な……。
『それでも生きていて欲しかった』
 ああ……そういう事だったのか。“それでも”の意味が、今漸く、理解出来た。死と引き換えに、何かからおねーさんを守ったんじゃないか、なんて……ボクはもしかしたら余計に傷付ける事を言ってしまったんじゃないだろうか……
「謙也さんが死んで、流石にファンも悲しみに沈んでな。いじめどころじゃなくなったんだろ……皮肉な話だけどな。それからねーちゃんは周囲から哀れまれた」
「……それから……おねーさんは、どうしたの?……」
 聞いてはいけない事だろう。シンも、話したくない筈だ。ここらでもう、終わりにすべきだ。でも、一番知らなければいけない事のような気がした。シンは一度強く目を閉じた。険しく、そして激しい憤怒と哀愁に満ちた顔付きが、どんな悲惨なものであったかを物語っていた。
「……当然、悲嘆にくれた。学校にも行かなくなったし、ずっと塞ぎ込んでいた。何を憎めばいいのか解らなかっただろうし、生きる意味も解らなかっただろうな。何度か自殺を図ろうとして、その度に家族全員で止めた。もう死なせてくれと泣いて懇願された時は、どうしたらいいか解らなかった。死なせる訳にもいかねぇが、生きてくれとも言えねぇんだ。死を切望する者に「生きろ」と言うのは、死ねというより残酷だからな。……そうやって、小学生ながらに、俺も色々考えた。けど、救う術なんて解る訳もねぇ……」
 当時を反芻しているのか、シンの表情は一気に翳りを見せた。