I love you に代わる言葉

「ねーちゃんが一・二年の時らしい。当時俺は小学生だったからな、あんまり詳しい事情は知らなかったし聞かせて貰えなかった。終わった後に、知ったんだ。正直、いじめに遭ってた期間のねーちゃんの姿も、あんまり覚えてねぇ。終わった後に、そういえば暗い表情をしている時があったかも知れねぇって思い出す程度だ」
 語るシンの表情は、憂いを感じさせながらも無表情だった。声色も、何処までも静かで。つと、シンはボクを見た。
「謙也さんがバンドを組んでいた事は聞いたか?」
「ああ、うん」
「……ファンの事は?」
「ファン? そこそこ居たって事なら。……あ」
 ――そうか。そういう事か……
「察したか? ファンが居るバンドのボーカルだ。その彼女であるねーちゃんは、当然、ファンにとって嫉妬の対象だ。そういう連中から、ねーちゃんは嫌がらせを受けていた。暴行などの肉体的苦痛は与えられなかったらしいが、口汚く罵られたり、持ち物を隠されたり、「謙也と別れろ」と直接言われたりそんな事が書かれた紙を下駄箱に入れられたりと、地味な嫌がらせを毎日受けていたらしい。幸い、ねーちゃんの味方は結構居たらしく、友達からも謙也さんからも守られた。ねーちゃんは親にその事を隠していたが、ねーちゃんの友達が、親に知らせてくれたらしい。それで発覚した。まぁ、それ以前にも、ねーちゃんが物をよくなくす事を母さんは不思議がってたがな。薄々感付いてはいたんだろ」
 ボクは黙ってシンの言葉に耳を傾けていた。此処まで語られた時、シンの表情に微かな憤怒を感じた。