I love you に代わる言葉

「……ボクの親より、ずっとマシだろ」


 ボクが零した言葉で、一瞬で部屋が冷え切り、皆が凍り付いた。三人の視線がボクに集中し、すぐさま気まずそうに逸らされる。暫し沈黙が辺りを領した。
 己の発言を、すぐに悔いた。
 ボクは、からん、と箸を置くと、目を合わせる事無くおねーさんに言う。
「……ゴメン、残す。でも、後で必ず食べるよ」
 おねーさんの心配そうな顔が視界に入るけど、やはり目を合わせる事は出来なかった。返事を聞くより先に、席を外すと、ボクはシンの部屋に向かった。
「――日生!」
 部屋に入り扉を閉めようとしたけど、ガッとそれをシンに制され、呼び止められる。
「ちょっと入らせて貰うぜ」
 シンはそう言ってボクに続いて部屋に入ってきた。
「別にいちいち断らなくても、自分の部屋なんだから入ればいいだろ」
「まぁそうだな」
「で? 用はなに?」
 ボクはシンに背を向けたまま尋ね、ベッドに向かうと、そこに腰を下ろした。シンを正面に据える。シンはその場から動かなかった。
「日生、さっきのは……、」
「ああ、叱りに来たワケ? はいはい悪かったね、空気打(ぶ)ち壊して」
 シンが言い終わらぬ内に、心にも無い謝罪を述べる。するとシンは若干渋い顔をした。
「そうじゃねぇよ。日生、……吐き出せばいいじゃねぇか、本音を」
「は? 何の本音さ?」
「親に対してだ。あるだろ、本当は色々」
「……色々? 無いね。死ねばいい、それが全てだ」
 どこまでも冷たく言い放つ。それ以上何かを言われるのが面倒だったから、シンから視線を逸らして頑なにそちらに目を向けなかった。出ていけよと言いたかったが、此処はシンの部屋だから言える筈も無い。