I love you に代わる言葉



 それから暫くして(時刻で言えば、十九時半くらい)、再び部屋の扉がノックされた。ボクは返事をしなかったし振り向きもしなかった。けど、
「日生くん」
 優しい声が扉越しに届いて、ボクは勢い良く振り返って扉を見た。だけど馬鹿みたいに此処から動く事が出来ず、息を潜めながらおねーさんの様子を窺うだけだった。返事もしない扉も開けない。扉の向こうから困惑がボクに届くようだった。
「日生くん、入りますね」
 そう、おねーさんは断りを入れてから、遠慮がちに扉を開いた。姿を現すおねーさんと目が合って、そしてすぐさまつと逸らす。
「……ご飯、食べられますか?」
 ふわり、羽根が舞い降りるみたいだった。ああ、呼びに来てくれたのか、と少し温かい気持ちが芽生える。正直食べたい気分でもないけど、いらない、とも言いたくなくて。ボクはベッドから降り、動き出す事で肯定の意を伝える。おねーさんはホッと胸を撫で下ろしたみたいだった。