I love you に代わる言葉



 店を出ると、外は土砂降りだった。
「すげぇ降ってるな」
 のろのろと歩いてきて背後に立ったシンが呟く。特に返事を求めたものじゃないと踏んで、ボクはシンをチラと見ただけだった。
 鬱陶しい雨だ。けど、天気に文句を言うのも無意味だ。スコールという訳でも無さそうだから、今日はずっと降るんだろうか。ボクは溜息をつき、持っていた青い傘を差した。やや遅れてシンも黒い傘を差し、二人で店を後にする。
 シンはズボンのポケットから黒いケータイを取り出すと、時間を確認した。
「十六時半か。丁度いい、ショッピングモール寄ってくか? ねーちゃん傘持っていってねぇ筈だ」
「ああ、そういえば玄関に傘あったね。けど、ボク等が行って意味あるの? 傘二本しか無いのに」
「日生が入れてやればいいだろ」
「……!」
 こいつの思考どうなってるんだよ……! 協力はありがたいが、それしか考えてないんじゃないのか!? よくもまぁポンポンと浮かぶもんだ。
「……イヤだね。それならおねーさんに傘貸してアンタと入った方がマシだ」
「却下」
 うざ、何だよこいつ。
「じゃあおねーさんと入れば?」
「もっと却下だ」
「じゃあアンタが濡れるんだね」
「日生が入れてやりゃあ問題ねぇよ」
 うざっ、何なんだよこいつホントに。おねーさんと一つの傘に入るなんて絶対に無理だ……。