I love you に代わる言葉

 二人で店内を回る。ボクはオルゴールの代わりに、おねーさんに何かを渡したかった。けど、こんな店に来た事もなければ誰かの為に贈り物をした事がないボクは、何を渡せばいいのか解らなかった。姉か妹でもいれば、少しはマシだったかな。そのまま、似たようなオルゴールを渡すべきだろうか。でも、前の男と似たようなものは贈りたくない。そうやって我儘を心内で喚き散らす所為で、いいものに巡り会えずにいる。
 背後のシンを振り返れば、姿勢がとても気だるげなものに変わっていた。
「……店内ぐるぐる回ってるだけじゃねぇか。見てみろよ、店員の目が不審そうな目付きに変わりつつあるぜ」
 シンが目線だけで店員を一瞥しながら、呆れた口調で言う。シンが指した店員をこっそりと盗み見れば、本当に嫌な目付きをしていた。
「仕方無いだろ。……解らないんだから……」
 不貞腐れたように言えば、シンはフッと笑った。
「何だ、ここに来て急に素直になったな」
「ウルサイんだよいちいち。悪い?」
「いや、」
 そこで会話終了に思えたが、シンを見ればまだ何か言いたそうにしていた。多分、一旦言葉を区切っただけだ。シンは前だけを見つめながら、ゆっくりと口を開いた。
「日生って本当に純粋なんだな」
 真面目な顔でそんな事言うもんだから、ボクは複雑だった。褒められてるのか貶されてるのかよく解らないからだ。
「――ふんっ、悪かったね、子供で」
 結局後者の意味に受け取ってつっけんどんな態度を取りながら歩く速度を速めれば、
「何言ってんだ、いい事じゃねぇか」
 苦笑を漏らしながらボクの後をついてきた。