I love you に代わる言葉

 それを見て、ただ愕然とする。声にならない声が漏れた。身体がすぐに動かない。部屋に入った事を、心底後悔した。それを咎める如く割れたオルゴール。
 ボクはギリッと口唇を噛んだ。どうやっても誤魔化す事は出来ない。写真立ては木製だった為に、壊れる事は無かったが、小さな傷が幾つか付いてしまった。
 ――……くそっ……! 悲痛な想いを、そんな単語に乗せて心内で叫ぶ。けど、無意味だった。
 悲痛な面持ちのままゆっくりとしゃがみ込んで、素手でガラスを寄せ集める。箒が欲しい所だけど、掃除用具の場所も解らないし、そもそもあるかのかも解らない。あったとしても、ゴミのように箒で掃く事は出来なかった。
 割れた破片を掴んでじっと眺めた。
 多分、おねーさんにとって大切なものだ。……どうする? 先におねーさんが帰宅するんだ。一旦隠すか?……いや、無くなっている事にすぐに気付くだろう。正直に打ち明けるか? けど、部屋に入った正当な理由等無い。割った事以上に部屋に入った事を咎められるかも知れない。いや、それならまだいい……もし、もし……気持ち悪がられたら? 怒られるより、無視されるより、嫌悪感を露に避けられる事が、一番……――。
 ぐっと力一杯握り締めた拳。
「ッ……!?」
 が、力は一瞬で緩む。手の平に痛みが走ったからだ。バッと指を開く。馬鹿だ……破片を持ったまま強く握ってしまった。ああまた、怪我をした。血が出ている部分をぼんやりと眺める。
 ボクはちっと舌打ちをした。
 何かもう、どうでもいい。