I love you に代わる言葉

 そう考えた時、ボクは思い出してしまった。あの――写真立ての事を。
 ボクは立ち上がり、シンの部屋を出た。が、そこで暫く佇む。
 ――どうする気だ? これから。
 写真に何が写っているのか知りたい。けど、勝手に部屋に入って触る訳にはいかない。けど、見たい。見れば後悔するかも知れない。それでも知りたい欲求だけがボクを支配する。先程好奇心に打ち勝てたのは、シンが居たからに他ならない。一人になった今、例えば見たとしても、誰にも解らない。知られない。見るなら――今しかない。
 ボクは口唇を噛み、ぐっと拳を作ると、覚悟を決めておねーさんの部屋へ向かった。
 おねーさんの部屋の前まで来て、足を止める。やはり、立ち入るのは容易じゃなかった。どうでもいい奴の部屋なら躊躇い無く勝手に入っただろうが、此処は……どうでもいい奴の部屋じゃない。
 伏せられた写真立てをこの場から見つめて、やっぱりシンの部屋に引き返そうと思った。が、ふわり、何処からともなく温かい風が吹いて、ボクの背中をそっと押した……気がした。絶対、気のせいだと思うけど。
 悪い事をしている自覚と申し訳無さを抱えながらそれでも足を踏み入れた。ベッドの横に立って、写真立てを掴む。それは、アンティーク調で木製、レトロな感じのものだった。まだまだ帰宅しないと解っているのに、脈打つ鼓動は速い。ボクは手首を捻って写真が入れられている面を此方に向けた。
 刻が一瞬、止まった気がした。