I love you に代わる言葉

「まぁ座れよ。あ、戸は閉めてくれ。音が洩れて今井が耳障りに思うかも知れないからな」
 ボクは言われた通り引き戸を閉めると、シンの座っている場所から三人分くらい距離を開けて座った。テーブルを挟んだ向こうに、おねーさんが座っている。おねーさんは部屋着じゃなく、きちんとした服(恐らく外出用)に着替えていた。それに、化粧も仕事時のように綺麗に施されていた。
「おねーさんどっか出掛けるの?」ボクが尋ねれば、おねーさんとシン、両方から視線が向けられた。
「はい。図書館に行こうかなって」
「へぇ。何処の?」
「市立図書館ですよ」
「そこ、本が充実してるよね。ボクも中学生の時よく行ってたんだ」
「そうなんですか?」
 おねーさんは目を丸くした。シンは何かふと思い出すような、僅かな反応を見せた。
「そういや今井が言ってたな。日生は本ばっか読んでるって。『分厚くて字がびっしり詰まったのもあったんだぜ? よくあんなの読めるよ』とも言ってたな」
 シンはそう言って笑う。いつの間にそんな話してたんだよ。
「日生くん、本が好きなんですね。良かったら一緒に行きますか?」