I love you に代わる言葉

「水晶は石英のグループだけれど、水晶は水晶、と先程話したじゃないですか。透明度のあるものは「水晶」、無いものが「石英」。要するに……、」
「――せきえいってのは、水晶になれなかった出来損ないなんだ?」
 おねーさんの言わんとしている事を先読みしてボクが言うと、おねーさんは驚いていた。
「透明度が高ければ高い程価値が上がるんだよね? そして成分は二酸化何とか。じゃあそういう事だ」
「日生くんは凄いですね。最後まで言わなくても解るんですから。でも……そうですね。“出来損ない”って言ってしまうと少し可哀想ですが、結局はそういう事です。流石にお客様にはそこまで話しませんが。アゲートやカルセドニーを好きなお客様もいらっしゃるから」
「ふうん。でもそういう知識は持ってると面白いね。石を見る目が変わるよ」
「でしょう?」
 おねーさんはそう言って笑う。
「店員って、そんなに詳しく覚えるんだ?」
「私が話した事は、基本中の基本なんです。だから私も知らない事だらけですし、他に知っている事と言えば、自分の好きな石についてくらいでしょうか。あれこれ質問されたら、本が無いと詳しく伝えられないんです。けれど、社長はそれでいいと。無である方が、偏った知識も無いからって。此処のお店だけかも知れませんが、知識の無い人の方が、雇われるんですよ。本屋さんでも、読書好きより、本に無知な人の方が採用され易いみたいですよ」
「へぇ」
 石の話より、こっちの方が純粋に驚きだ。