I love you に代わる言葉

 一度シンの部屋に戻ろうかと考えたが、やめた。勇気を振り絞ってノックすれば、
「どうぞ」
 中から、おねーさんの声が聞こえてきた。声の調子は、普段と変わらなかった。
 どうぞと言われたけど、扉を開けるのに躊躇した。ヤバイな、何か急に緊張してきた。落ち着かせようと考えたが、心の準備が整わぬまま、扉は内側から開けられてしまった。
「あ、日生くん。どうぞ」
 おねーさんはとても爽やかな表情をしていた。少しも泣いていた様子はないし、ボクの思い過ごしだったかな。
「さっきも言いましたが、日生くんが期待する程石を持っていなくて。此処にある分だけです」
 おねーさんはそう言って、部屋の中心にある白く円いテーブルに近付き腰を下ろした。
 綺麗な部屋だ。白と水色で統一された清涼感ある部屋。そして上品。綺麗だ、本当にその言葉しかない。優しい、フローラル系の香りもする。此処って人間の部屋? 天使が住んでるんじゃないの? 天使見た事無いけど。おねーさんって本当に人間の子なんだろうか。
 南に位置する扉を通り抜ければ、西側に少し大きめの窓がある。カーテンは水色地に花が描かれている。花の色はパールホワイト。窓の近くに(部屋の奥に)、白いベッド。枕は北を向いている。白く丸いふかふかの絨毯は大きくなく、テーブルと白いソファーが置かれた場所にだけ敷かれている。ソファーは二人掛けの大きさで、北側に置かれているがこちらを向いている。あとは洒落た収納棚と二つの本棚(本がギッシリという訳ではなく、本も、ノートらしきものも、漫画も、その他ファイルなど、色々揃えられている)が東側の壁に並べられている。
 おねーさんが此方を見る。ドキッとした。細かく観察する暇は無いようだ。