I love you に代わる言葉

 扉を開ければおねーさんはボクを見てほんの少し驚いた表情を見せたが、ありがとうございますと丁寧に礼を述べた。
 おねーさんは淑やかさが窺える所作で跪坐の姿勢をとると、おぼんをテーブルに乗せる。おぼんには紅茶の注がれたガラスコップ三つと、ポテチが乗せられた皿、ストローが三つ、そしてシロップが置かれている。コップの中には星の形をした氷が沢山入っていて、見るからにキンキンに冷えてそうだ。さっきも思ったが、紅茶か、洒落てるな。おねーさんに似合ってもいる。
「それじゃあ、ごゆっくり」
 おねーさんは立ち上がり、そう言って部屋を出て行こうとするが、
「あ。待ってくれ」
 シンが呼び止めた。立ち止まって不思議そうに振り返るおねーさん。ボクは嫌な予感がした。まさか……。
「日生に、部屋の鉱物見せてやれば?」
 やっぱり……。しかもボクだけかよ。これじゃ好意がバレる可能性があるじゃないかとシンを見れば、あまりに普通の顔をしているから恐ろしい。
「いいけど、そんなに種類が無いの。タンブル、というものをアクセサリーにしたものや、加工されているものばかりだから、日生くんは興味無いかも……」おねーさんは不安そうにボクを見る。
「何かよく分からねぇが、どうする日生?」
 どうするって言われてもな……。でも、おねーさんの部屋を見られるし、色々話せるチャンスでもある、とか考えてしまっている自分もいる。此処に住む話もあるし、おねーさんに確認を取る必要もある。話に乗るしかないだろう。
「でも全部石なんだよね?」
「そうですよ」
 おねーさんがどんな石を好むのかも解るし、やっぱり何より、ボクはおねーさんの部屋を見てみたかったし話がしたかった。
「じゃあ……うん、見る。……後で行くよ」
 目を逸らしながらそう言えば、おねーさんはふふっと笑う。
「分かりました。私は部屋にいますね」
 おねーさんはそう言って今度こそ部屋を出て行った。