「――“あの”日生と今井が大人しく待ってるなんて、面白い光景だな」
背後から、笑い声と共に聞こえてきた声。振り返れば、両手でおぼんを持つシンが、扉の所に立っていた。
おぼんの上に置かれているものを落とさぬよう、注意を払いながらゆっくりと部屋に入ってくるシン。おぼんをガラステーブルに置いた。その上には少し大きめのガラスコップが三つ、その中に麦茶らしきものが注がれており、星の形をした氷が五つ入っていた。見た目が意外と面白い。細部にまで気を遣える奴と褒めるべきか。
「“あの”って何だよ、“あの”って」今井が目を細めながら口唇をやや尖らせた。
「いや、気にするな」
シンはそう言って、リモコンのボタンを一つ押すと、クーラーをつけた。
「――アンタ、おねーさんとは仲いいの?」
黙って様子を見ていたボクが、突然口を開いた事と、何の前置きも無い質問にシンは驚いたようで、釣り目がちの目をやや大きくさせると、きょとんとして見せた。
「突然だな。ま、悪くはねぇな」
シンはそう言って笑って見せると、テーブルを挟んだ向かいに腰を下ろした。
「――なるほどね。」
悟ったように呟けば、左斜め前に座る今井と、向かいに座るシンから同時に視線を向けられた。何言ってんだこいつ、と今にも口から漏れそうな表情の今井。シンも今井と似たような表情だった。
「シン。アンタは、ボク等が万引きしてた事を知ってたんだろ。――多分、おねーさんから聞いて。“あの”とアンタがどういう意味で言ったのかは知らないけど、ボク等は六組のアンタにまで知れ渡る程有名じゃない。素行がいいとは言えないが、ボク等より派手で素行の悪い奴は沢山いるからね」
ボクの言葉に今井は驚いたようで、シンへと視線を移した。二人から視線を投げ掛けられたシンは、やや驚いた表情を見せた後、すぐにいつもの軽い笑みを浮かべた。
「察しの通りだ。万引きの件は、ねーちゃんから聞いて知ってたさ。万引きされる度に酷く嘆いててな、「真と同じ学校の子が防犯カメラに映ってた」って言ってたから、その特徴を聞いたんだ」
シンは包み隠さず話し出した。
「まず、『一人は金髪の短髪』と聞いて、すぐにそれが同じ学年の『今井康介』だと解った。金髪、だけなら三年生含め数人いるが、短髪はこいつだけだからな」
シンはそう言って今井に視線をやった。そしてすぐにボクと視線を合わせ、言葉を続けた。
「だから言ったんだ。多分それ、俺と同じ学年の今井だ、ってな。――ただ、日生の特徴は聞いてもよく解らなかった。カメラ越しじゃ顔がよく見えないって言ってたし。派手な外見じゃねぇから、顔以外の特徴教えられても特定出来る要素としては不十分なんだ。結局それが『日生ヒカリ』と解ったのは、日生がねーちゃんと話すようになってからだ」
なるほど。おねーさんが今井の名前を知っててボクのは知らなかったのは、そういう事か。以前、今井が「名を名乗った覚えが無い」と言って不思議そうに顔を顰めていた事があったのを思い出す。あの時は、こいつが忘れているだけか、オバサンに名乗ったのがおねーさんに知れたものと片付けたが、シンから聞いていたからか。
語られた事実に合点がいく。そして知る。ボク等は色んな所で繋がっていた事を。
背後から、笑い声と共に聞こえてきた声。振り返れば、両手でおぼんを持つシンが、扉の所に立っていた。
おぼんの上に置かれているものを落とさぬよう、注意を払いながらゆっくりと部屋に入ってくるシン。おぼんをガラステーブルに置いた。その上には少し大きめのガラスコップが三つ、その中に麦茶らしきものが注がれており、星の形をした氷が五つ入っていた。見た目が意外と面白い。細部にまで気を遣える奴と褒めるべきか。
「“あの”って何だよ、“あの”って」今井が目を細めながら口唇をやや尖らせた。
「いや、気にするな」
シンはそう言って、リモコンのボタンを一つ押すと、クーラーをつけた。
「――アンタ、おねーさんとは仲いいの?」
黙って様子を見ていたボクが、突然口を開いた事と、何の前置きも無い質問にシンは驚いたようで、釣り目がちの目をやや大きくさせると、きょとんとして見せた。
「突然だな。ま、悪くはねぇな」
シンはそう言って笑って見せると、テーブルを挟んだ向かいに腰を下ろした。
「――なるほどね。」
悟ったように呟けば、左斜め前に座る今井と、向かいに座るシンから同時に視線を向けられた。何言ってんだこいつ、と今にも口から漏れそうな表情の今井。シンも今井と似たような表情だった。
「シン。アンタは、ボク等が万引きしてた事を知ってたんだろ。――多分、おねーさんから聞いて。“あの”とアンタがどういう意味で言ったのかは知らないけど、ボク等は六組のアンタにまで知れ渡る程有名じゃない。素行がいいとは言えないが、ボク等より派手で素行の悪い奴は沢山いるからね」
ボクの言葉に今井は驚いたようで、シンへと視線を移した。二人から視線を投げ掛けられたシンは、やや驚いた表情を見せた後、すぐにいつもの軽い笑みを浮かべた。
「察しの通りだ。万引きの件は、ねーちゃんから聞いて知ってたさ。万引きされる度に酷く嘆いててな、「真と同じ学校の子が防犯カメラに映ってた」って言ってたから、その特徴を聞いたんだ」
シンは包み隠さず話し出した。
「まず、『一人は金髪の短髪』と聞いて、すぐにそれが同じ学年の『今井康介』だと解った。金髪、だけなら三年生含め数人いるが、短髪はこいつだけだからな」
シンはそう言って今井に視線をやった。そしてすぐにボクと視線を合わせ、言葉を続けた。
「だから言ったんだ。多分それ、俺と同じ学年の今井だ、ってな。――ただ、日生の特徴は聞いてもよく解らなかった。カメラ越しじゃ顔がよく見えないって言ってたし。派手な外見じゃねぇから、顔以外の特徴教えられても特定出来る要素としては不十分なんだ。結局それが『日生ヒカリ』と解ったのは、日生がねーちゃんと話すようになってからだ」
なるほど。おねーさんが今井の名前を知っててボクのは知らなかったのは、そういう事か。以前、今井が「名を名乗った覚えが無い」と言って不思議そうに顔を顰めていた事があったのを思い出す。あの時は、こいつが忘れているだけか、オバサンに名乗ったのがおねーさんに知れたものと片付けたが、シンから聞いていたからか。
語られた事実に合点がいく。そして知る。ボク等は色んな所で繋がっていた事を。

