I love you に代わる言葉

 カードキーで開錠された玄関扉。促され、一番先に入ったのはボクだった。玄関を入って正面に階段がある。という事は、二階に住んでいるのか。玄関はこじんまりとしたもので、とにかく物が無かった。並んでいる靴も無い。靴箱にきちんと仕舞われているんだろう。そう思い、右手にあるボクの腰くらいの高さの靴箱を見ると、上に、鉱物が幾つかセンス良く飾られていた。ボクが持っているアメシストと同じものがある。水晶も。あとは小さく丸い石が幾つか並んでいるが、他は……知らないな。
 何で鉱物が此処に飾られているんだ……?
「……ねぇ、」
 鉱物に目を向けたまま声を掛ければ、二人の視線が向けられた。
「お前どっちに言ってんだよ」
「ササヤマシン」
「はは、シンでいいぜ。で? なんだ?」
「これなに」
 鉱物を指差しながら、今井の後ろにいるシンに問えば、シンはボクに視線を合わせた後、ボクの人差指が示した方向を向く。
「ああ。ねーちゃんの趣味だ。置いとけって煩いんでな」
「……わざわざ持ってきたの?」
「魔除けになるらしいからな」
 サラッと返事をしたシンは、早く上がるように促した。
 階段を上がれば右と左に扉があり、右がトイレで左がシンの部屋らしい。正面は引き戸だ。引き戸で閉じられている為、その向こうは見えないが、リビングやキッチン、風呂があるんだろうと予想した。
「部屋入っててくれ。何か持ってくる」
 シンはそう言って引き戸を開け、その向こうへ行ってしまった。