「あ。こんにちは」
 ボクの姿を見付けたおねーさんは、一瞬驚いた表情を見せたが、相変わらずその顔に人好きする笑顔を浮かべていた。鉱物何ちゃらと表紙に書かれた本をパタンと優しく閉じ、丁寧にカウンター上へ置く。
 ボクはやっぱり挨拶を返す事無く、無言で店内へと足を進める。