カランカラン。
涼しげな音が、何もない田んぼ道に響く。
それと呼応するかのように、セミの大合唱が辺りを包み込んでいた。
さて、啖呵をきったまではよかったけど…
手元で頼りなく揺れるさっき閻魔様からもらったばかりの縁結びの札。
『…どうしよう』
なにも、考えていなかった。
そもそも死期の近い人間を見つけるったって…
『誰もいないじゃない!!!!!!!!』
民家もない。店もない。人もいない。
ただただ、だだっ広い田んぼが広がっているだけ。
でも田んぼがあるってことは、人がいるっていうことだよね。
そう思い直して私はめげずに歩き出した。