ラジオドラマ


 仁「分かっている。ならば、最後に聞かせろ。」


 フェイス「なんでしょう?」


 仁「お前は・・・・なぜ、話術師となった。」


 ・・・・それが、お前が「負け」という代償を糧に得るものか・・・。


 ならば、答える必要があるのか・・・。


 フェイス「・・・あなたが、魔術師となった理由と同じだと・・・言っておきましょうか。」


 仁「罪・・・か?」


 フェイス「この世界に、罪を背負っていない人間はいないでしょう?だからこそ、それぞれに・・・生きている人間すべてに定義が存在する。」


 お前が、魔術師であるように・・・ボクが話術師であるように・・・。


 生きている者すべてが「罪」により「定義」がなされる。


 人間ならば、決して逃れられないしがらみだ。


 仁「まったくもって・・・」


 フェイス「馬鹿馬鹿しいですか?」


 仁「そうだな・・・。」


 否定はしなかった。


 彼女も思っているのだろう。


 罪を背負うのなら、どうして生きる・・・。


 放棄するなら簡単だ。


 自らの定義を外すことは非常に簡単だ。


 だが、それをしようとしない


 己の罪はいずれ、己を潰す。


 分かっていながらも、逃れられないしがらみ。


 まったくもって、馬鹿馬鹿しい・・・。