ラジオドラマ


「才能の無駄遣いとは、このことだな・・・。」


 赤外線センサーON。


 ジークはサイボーグとなっている右目のセンサーのスイッチをつける。


 赤目と呼ばれる所以・・・。


 ジークの身体の半分は既に人間ではない・・・。


 顔の右半分、そして右手と右足・・・。


 すべてが機械で作られた身体・・・。


 不自由だとは感じないが・・・こんな能力・・・軍人でなければ使わないな・・・。


 そう思うと、生身であそこまで動ける海人が心底うらやましかった。


「いない?」


 遠くに行き過ぎたのか、センサーに人らしき存在は見当たらなかった。


 もっとも・・・赤外線センサーだって、360度すべてを見渡せるわけではない。


 自分の死海に隠れている可能性だって、あるわけだが・・・。


 そこまで、考えをめぐらせた瞬間だった。