「殺し合いに反則もないか・・・。」


 海人はタバコをくわえ、火をつけながらそんなことをぼやいた。


 そう・・・つまりは、ジークが皐月に勝る武器がなかった。


 それだけの話である。


 より強力な武器と、それをどのように使うか・・・。


 殺し合いの世界で優劣を決めるのはそれだけ・・・。


 そういう意味では、ジークは絶対に海人には勝てない。


「公平を期すため・・・とか言いやがって・・・向こうはサイボーグやぞ・・・。生身の俺で勝てるか?」


 海人は、紫煙を撒き散らしながら、そんなことをぼやくしかなかった。


 瞬間。


「!」


 海人が隠れていた、ビルの柱が爆発した。


 手榴弾。


「クソが!」


 避けながら、海人は銃口を向けて、発砲。


 そう・・・向こうもこんな手榴弾を決め手に使ったわけではない。


 柱を爆発することによって、海人を丸裸にしたかったのだ。


 隠れていなければ、ライフルで狙い打つなんて容易。


 ・・・・・・・・さすがは歴戦の軍人。赤目のジーク。


 考え方は、おそらく海人と一緒なのだろう。


 つまり・・・






 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・殺し合いにルールなんてモノはない・・・。






 だが・・・手榴弾を投げられるまで近づいたのが間違いだったな。


 そこは、ハンドガンしか持ってない俺でも十分に射程内だ。


 そして、両者から銃弾が発砲される。