「毒殺・・・もしくは、ウィルス・・・まぁ、この場合は毒殺がセオリーなんだろうけどな・・・。」


 由良は、大きくため息をつく。


 いくら『兵器』と名乗ろうと、残念なことに『生物』である以上は、有効な毒が存在するのが、この世の鉄則である。


 いかなる生物たりとも、『無敵』になることを許してくれるほど、この世界は優しくない。


 人間と同等の毒が通じなくても、身体の構造までバレている8には、どのような毒が有効なのか、見れば分かる。


 ましてや8は、神様ではなく、人間が作った生き物。


 ・・・・・・・・・気持ち悪いが・・・コンピューターウィルスすら有効打になるという計算結果が出た。


「人間が作った生き物だからこそ、人間が作ったウィルスで殺せるか・・・道理だが・・・いつから、俺たちはそんな領域まで足を踏み入れた?」


 由良は思わず、そんな言葉を口にする。


 人間が生き物を作り、人間がその生き物を殺す。


 ・・・・・・・・俺たち人間さまは、いつからそんな偉くなった?


 たかが、サルから進化した分際で・・・・。


「いや、進化したのかも、分からないな・・・。」


 知能の発達が進化と呼びたいのは、人間のおごりなのだろう。


 そうでも呼ばなければ、人間の尊厳が保てないから、そんな言葉を作り、そんなコトで納得したのだ。


 所詮、人間などその程度の矮小な生き物に過ぎない・・・。


「そして、ついに生き物まで作り上げて、悦に浸っているのかね・・・。」


 そう思うと、8以上に、8を作り上げた科学者どもに殺意が沸いた。


 いっそうのこと、あいつらがターゲットだったらよかったのに・・・。