「まるで、生きた核弾頭だな・・・。」


 由良は、裏組織から手に入れた、8の情報を見ながら、そんな言葉を口にした。


 ある国で極秘裏に作られた生物兵器。


 それが・・・8・・・。


 試験番号8だからその名称もそのままになっている。


 ・・・・・他の試験番号の結果もそこには書かれていたが、読んだだけで胸糞が悪くなった。


 たかが、人間ごときの分際で新たな生命を作ろうとするから、こうなる・・・。


「はぁ・・・。」


 由良は大きくため息をつく。


 元々、裏社会の人間。


 こういう話は日常茶飯事だが・・・だからといって、慣れるものではない。


 ちなみに、8が作られた経緯は非常に極秘裏に進められたものだったらしいが、世の中、隠そうとすればするほど、外には簡単に漏れるものである。


 だいたい、こんなにも膨大な金がかかる実験・・・。


 作っている段階からある程度、由良の耳にも届いていた。


 裏社会の奥深さは底知れない・・・。


「つーか、コレだけ具体的な資料渡されれば、弱点も、駄々漏れなんだよな・・・。」


 資料を眺めながら、由良はそんな言葉を口にする。


 暗殺の世界は情報戦である。


 戦う前から、いかに相手の情報を取得し、弱点を見つけられるか・・・。


 対面したときには、既に勝敗は決まっている・・・。


 そういう意味では、情報が駄々漏れしている8は、非常に由良にとっては戦いやすい相手といえる。


 生物兵器・・・8


 ありとあらゆる犠牲の上に成り立つ少女の形をした悪魔・・・。


 その身体能力は凄まじく、銃弾すら目で追い、避けられるほどだ。


 おそらく防御面においても、小型拳銃ぐらいでは傷一つ負わせられないだろう。


 ・・・・・・・まさに、外部からの攻撃には無敵。


 外部からの攻撃には・・・・・・・・。