「そうだな・・・まぁ、せいぜいその短い人生を謳歌しろ、魔道師。」


 言うと、ジュードは悠人の首筋に手をかざし、魔方陣を消し去る。


 身体の異常もこれで、元通りだろう。


「てめぇこそ、その地獄と思っているこの世界の中で、せいぜいあがけ、吸血鬼。」


 魔道師が笑う。


 魔道師が笑ったから、吸血鬼も笑った。


「お前のような人間に会えて良かったよ。」


 それが、最後の言葉。


 ジュードは、最後にニヤリと笑うと、静かに飛び立っていくのであった。


 夜には、満月の空が静かに輝いていた。





おわり