「・・・歳は取るものではないな。」


 ・・・・・・・千年と言う月日は短くない。


 その間に磨かれた魂は、生半可な魔法を完全に跳ね返すほどに鮮麗されていた。


 そもそも、中世の時代より生きるジュードにしてみれば、魔法に対抗できるすべなくして、ここまで生きることは出来るはずもないのだ。


「・・・・・・・日本か・・・・・・・・。」


 攻撃の出所を探る。


 相手もそこそこに手ダレの魔道師。


 自分の居場所や存在を容易く知られないようにガードをかけていた。


 だが・・・・自分のもっとも得意とする時間帯に魔法をかけたのが運のつき。


 この時間に仕掛けてきたこと・・・そして星の並びから、ジュードは相手が日本にいることをすぐに察知した。


「さて・・・今度はこちらから出向くべきか・・・。」


 言うと、ジュードは椅子から立ち上がる。


 タバコを捨て大きくため息。


 吸血鬼。


 ありとあらゆる兵器を跳ね返し、人から並外れた力を持ち、オマケに魔力まで備わった・・・それこそ無敵ともいえる存在・・・。


 そんな・・・吸血鬼を文字通り『殺す』ことが出来る数少ない存在・・・魔法使い。


 別に生き続けたいと思ったことはない。


 死ぬべきときが来たら死ぬべきだと・・・常に考えている。


 なのに・・・あいつからの攻撃が来たとき抵抗をした。


 生き残るために・・・。


 未練のないこの世界に残るために・・・。


「俺は・・・・・・・無様だな・・・。」


 そんな言葉をふと漏らすと、ジュードは狭い『我が家』から飛び出していった。