「たっだいまーっ♪」
陽翔の呑気な声が聞こえた。
それと同時に、
背中のぬくもりが消えた。
「心和ちゃーん!!
さくちゃんになにもされてない?
大丈夫?
そう言えば、
今日一緒に帰れなくてごめんね?
あっ肉じゃが♪
ねーねーっ!!
味見してもいい?」
嵐の如く怒濤に喋ってくる陽翔。
「もうちょっとだから待ってて。」
「心和、
食べ物はなぁ、
味見が一番美味しいんだよ。」
陽翔は真顔でそんなことを言うから、
思わず笑ってしまった。
これでも私のお兄ちゃん。
私が泣いていたのを、
多分気づいていたんだ。
「さくちゃん、
仕事の話があるからちょっといい?」
陽翔は彼を連れて、
リビングから出ていった。