その言葉を聞くなり、
群がっていた男たちは散っていった。
代わりに、
女の子の悲鳴に似た歓声が上がった。
「遅くなって悪い。
目立つ場なら、
ナンパも弁えるかと思ったんだが、
逆効果だった。」
申し訳なさそうに言う彼の姿は、
なんだか陽翔に似ている。
「別にあんたのせいじゃない。
それより早く帰りたい。」
「早く帰って俺に抱かれたい?」
「違う!!
地球に重力が無くなるのに等しいぐらいあり得ない!!」
なんなんだ、
この男…。
やっぱり危ない奴じゃないか!!
「冗談だっての。
晩飯も買わねーとないから、
スーパー寄るけどいい?」
時計をみながら彼はそう言った。
「自炊してるの?」
「心和がやるんだよ。
陽翔から心和は飯作るのだけは上手い、
って聞いてるし。
嫁になるなら当然だろ?」
「勝手に話を進めるな!!」
別に家事全般は、
苦手でも嫌いでもないけど、
この人と陽翔に作るのが気に入らない。

